ここでは卵子や精子のことを中心に細胞の話をいたします。
人間は約60兆個の細胞でできています。
肝臓は肝細胞という細胞が沢山集まって形成されており、機能しています。
一方赤血球や白血球は一個の細胞が独立して一定の働きをします。
精子や卵子も同じです。それぞれ一個の細胞で一定の働きをします。
この働きというのは、自分たちの子孫を作り出すという働きです。
「卵子」人体最大の細胞で直径が0.1mmもあります。
これはがんばれば肉眼でみえるくらいの大きさです。(0.1の間の小数点くらいですね)
「精子」尾を持った細長い細胞で長さは0.05mmくらいですが、体積をくらべると卵子の10万分の1くらいです。
どんなに目を凝らしても肉眼で見ることはできませんね。
細胞の中には「細胞質」というベースになる部分があって、その中に「核」があります。
この核の中には細胞の設計図とも言える情報がたっぷり詰まっています。
その情報をのせたものを「染色体」といいます。
人体の細胞60兆すべてが核を持っています。(厳密には赤血球などは特化して核がなくなっていますが)
つまりすべての細胞が設計図である染色体を持っているわけです。
人間は44本の常染色体と2本の性染色体があり合計46本の染色体が細胞の核の中にあります。
染色体は細胞が分裂していないときは核の中にとけ込んでいて観察ができませんが、分裂の時には長い毛糸をくるくる巻いて毛玉をつくるようにまとまり観察が可能となります。
この46本の染色体をほどいて並べるとその長さは約2メートルにもなるそうです。
精子はもちろん、ほとんどの細胞が肉眼で見ることができないくらい小さいのですが、この小さな細胞の核の中に総延長が2メールにもなる染色体が詰め込まれているんです。
染色体はDNAというさらに細かい基本単位が30億個も集まってできているといいますが、このDNA一個を1mmくらいのビーズにたとえて並べていくと総延長は3000kmにもなるらしいです(北海道から沖縄くらいまでの距離ですね!)。
細胞の中には核だけではなく、いろいろな小器官も存在し、非常に沢山の働きをしています。
また細胞膜の表面にはその膜を通過させるべきかどうかを判断するドアのような構造も存在します。
この辺を想像すると「細胞は小宇宙だ」というのもわかる気がします。
細胞分裂には分裂後も染色体の総数が変わらない体細胞分裂と総数が半分になる減数分裂があります。
体細胞分裂は一般的な細胞の分裂です。
分裂する前に染色体が2倍に増えて分裂するので分裂後も最初と同じ状態を保ちます。
この体細胞分裂を繰り返して受精卵から胎児、新生児へと発達していきます。
体を作っているすべての細胞はもともとは1つの受精卵から始まっているのですべて同じもののコピーとなります。
(正確には完全に同じコピーではなく、染色体がコピーされるときに違いがでてきて、異常な増殖をすることがあります。いわゆる腫瘍というものがそうですね。)
最初はたった1つの受精卵が分裂を繰り返して10ヶ月で50センチもの赤ちゃんになりますが、受精卵の大きさからすると実に5000倍の大きさの変化です。
減数分裂は配偶子(精子とか卵子)を作るときに行われる特殊な細胞分裂で染色体の数が半分になります。
半分になるのは受精で染色体の数が倍に増えるのであらかじめ半分にしているわけですね。
精子が23本、卵子が23本の染色体を持ち寄って、受精の時染色体がまとまり46本の染色体をもつ1つの細胞となるのです。
減数分裂のときに父親、母親からもらった染色体をそのまままた半分にするわけではなく組み換えという現象が起きるので染色体の混ぜ合わせが行われ、子孫の個性が生じるわけですね。
男性と女性の違いをつくっている染色体を性染色体といいXとYの二種類があります。
性染色体がXとXの場合は女性となり、XとYの場合は男性となります。
先ほどの減数分裂で半分になるとき卵子はいつでも22本の常染色体と1本のX染色体を持っていますが(合計23本)、精子はXの性染色体をもったものとYのそれをもったものが形成されます。
赤ちゃんの性別は、受精の段階でXとYどちらの性染色体をもった精子が卵子に進入するかで決定されるわけです。
一卵性双胎はもともとひとつの受精卵が途中で分裂して発生しますので性別がかならず一緒となります。
二卵性双胎は2つの卵子に2つの精子が受精するのでどちらの性染色体をもった精子が受精するかで性別がたまたま同じであったり違ったりするわけですね。
減数分裂の際23本ずつにきちんと分かれるのが一般的ですが、ときに24本と22本という具合に均等に分裂しないときがあります。
これらの配偶子が受精をすると染色体の総数が47本だったり45本だったりして染色体異常が発生するわけです。