卵子の成熟|1/2

ハートの図卵子の成熟1/2

ハートの図細胞分裂のこと

細胞は分裂してその数を増やしますが、その分裂方法は2種類あります。
分裂後も染色体の本数が変わらない体細胞分裂と染色体の数が最終的に半分になる減数分裂です。 前者は日常よくある細胞の分裂(皮膚や腸の表面の細胞など)です。 後者は精子や卵子などの配偶子が形成されるときの特殊な分裂になります。 減数分裂は配偶子の成熟(受精する能力を獲得するという意味での成熟)に関与しているので成熟分裂とも言われています。

配偶子は精子と卵子がありますが、まずそれぞれの元となる細胞が作られて、段階を経て精子や卵子に成熟してゆきます。 精子は精祖細胞→精母細胞→精娘細胞→精子細胞→成熟精子と成熟してゆきます。卵子も流れは一緒で卵祖細胞→卵母細胞→卵娘細胞→卵子細胞→成熟卵子となります。

精子と卵子の成熟過程は大きな流れは一緒なんですが、時間経過が全く違います。この時間的な違いから色々な違いが生じてきます。 そこで、卵子の成熟の比較として、まず精子のことについて簡単に説明します。

ハートの図精子の成熟について

ある男性がお母さんのおなかの中にいるころ(胎児期)に精祖細胞(精子の祖先という感じですね)が精巣で作られて思春期がくるのをまっています。思春期以降になると精粗細胞は体細胞分裂をによる増殖を始めます。同時に細胞自体も大きくなり、精母細胞になります。精母細胞は思春期以降おじいさんになるまで作り続けられますが、女性の場合の卵母細胞は生まれてから新しい細胞が作られることがありません。この違いが精子と卵子の決定的な違いになります。

精母細胞は一回目の減数分裂を行い一つの精母細胞が2個の精娘細胞になります(染色体の数は半分になっています)。すぐに2回目の減数分裂を行い精娘細胞は2個の精子細胞に分裂します(2回目の減数分裂後は染色体の数が変わりません)。その後まんまるの精子細胞は一般的なイメージにあるようなオタマジャクシの様な形態の成熟した精子に成熟、変化してゆきます。

一個の精粗細胞から合計4個の精子が形成されます。精粗細胞のスタートから精子形成までは休みなく経過して全期間は平均70日ほどになります。毎日約1億子の精子が作られていることになります。


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ハートの図卵子の成熟について

精子の形成は休止する期間がないことが特徴でした。
では卵子の場合はどうでしょうか?
ある女性がお母さんのおなかの中にいるころ(胎児期)の20週ころには卵巣の中に500万個くらい大量の卵祖細胞が作られています。しかし、その後は卵祖細胞は作られずに逆に変性、吸収によって数がどんどん減少して行きます。変性せずに生き残った卵祖細胞が卵母細胞となり卵巣のなかで原始卵胞をつくります。女性の出生児にはその数が100万個ほどになっています。

この後卵子となるために、精子と同じように2回の減数分裂を行います。
出生前に一回目の減数分裂が開始しますが、途中でその分裂を休止してしまうのです!
その後初経となり排卵が始まるまでお休みした状態が10年以上続くわけです。料理にたとえるならば下ごしらえを行った状態で保存しておく様な感じですね。出生から思春期になるまでに卵母細胞は変性を続けて数が減少し、毎月排卵するころには数万個になっているといいます。女性の一生の中で約300〜400個の卵子が排卵することになります(ピルの使用や多産の方はその数は減少します)。

生殖可能な年齢になると基本的には毎月数十個の卵胞が発育を開始しますが、その中から一個の卵胞が自動的に選択され発育をつづけ排卵します。その他の卵胞は縮小し閉鎖卵胞となり吸収されて行きます。この初期の卵胞を複数発育させ、排卵の数を増やすのが排卵誘発剤の働きですね。

出生時に一回目の減数分裂をおこない、休止状態であった卵母細胞は排卵直前に十年から数十年の眠りから覚めて一回目の減数分裂が完了し、染色体の数が半数になり卵娘細胞となります。15才の時の排卵と45歳の時の排卵とではその間30年の時間的な差が生じている訳です。 45歳の時に排卵する卵子は作られてから45年の時間が経過しています。その間にいろいろな外的な要因(自然放射線や薬剤など・・・)や内的な要因(ホルモン環境の変化や時間経過そのものによる変化)を受けていますので、卵の受精や分割の能力の低下(卵の質の低下と言えるかもしれません)や減数分裂の際の染色体不分離(トリソミーなどの原因)の頻度の上昇などはいたしかたない点でもあります・・・。

第一減数分裂が終わると、精子の場合は二つの精娘細胞になりましたが、卵子の場合は一つの卵娘細胞になります。ここも精子と全く違う点です。正確には一つの卵娘細胞と一つの第一極体と呼ばれる細胞質がほとんどなく機能しない細胞に分裂しています。第一極体が分裂により放出されますが、いずれ変性し消失します。体外受精の際には第一極体の放出が卵の成熟の指標のひとつとなります。

排卵時に卵娘細胞は2回目の減数分裂を開始しますがここでまた分裂が一時中断します。精子が卵子に侵入したときに2回目の減数分裂が再開し、終了します。第一極体の放出と同じで一つの卵子ともう一つの極体つまり第二極体に分裂します。結果的に卵母細胞から2回の減数分裂で一つの卵子と3個の極体が生じることになります。この点が精子の場合と違う点ですね。


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