正常細胞の話

正常細胞の話

治療が進歩したと言ってもまだまだ死亡原因の上位を占めているのが「癌(がん)」という病気です。
癌はその概念が難しい病気です。
癌のことを理解するためには、まず正常な細胞のことを知る必要があります。
ここでは、正常な細胞の特徴を解説します。

人間は細胞の集まり

レンガで作られた壁や石を積み上げて作られた西洋の教会、はたまたレゴで作ったおもちゃの車などは元は小さなパーツを沢山組み合わせて作られています。 それと同じように、人間は(他の生物もそうですが)細胞という小さなパーツを沢山集めて作られています。 元はたった一個の受精卵からスタートし、お母さんの子宮の中で細胞分裂で2個、4個、8個、16個・・・・という風に細胞が増殖して急激に数が増えてゆきます。

最終的には60兆個の細胞で人間一人が構成されるようになります。
細胞の数がただ増えてゆくだけではただの細胞の塊ができるだけですね。 発生の不思議なところはそれぞれの細胞が必要な場所で、必要な働きをする細胞に変化し、意味のある形を作っていくところですね。 やや専門的には、「増殖した細胞が分化して、組織を形成しそれらが最終的には心臓、肝臓、皮膚、骨などの臓器を形成し、人間が完成する」となります。

細胞分裂はコントロールされている

出生した後も成長を続けるので細胞はどんどん分裂してゆきます。
しかし、成長期を過ぎると身長はさほど変化は起きませんね。 成長して成人となると細胞は分裂しなくなるのでしょうか? 実は、目には見えなくても身体の細胞は毎日分裂を繰り返しています。 細胞の分裂と消失がうまくコントロールされているので見かけ上の細胞の数や個体の大きさにさほど変化はありません。



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細胞の寿命

細胞にも寿命があります。
細胞の寿命はいろいろな臓器を構成する細胞によって違います。

神経細胞などは基本的に再生されることはありませんが、小腸の内側を構成している細胞は数日で新しいものと入れ替わってしまいます。 血液の赤い成分で酸素を体中に運搬している赤血球という細胞は120日という寿命です。 皮膚は約2ヶ月くらいで入れ替わると言われています。 皮膚からでるぽろぽろとした垢は古くなった皮膚細胞の残骸ですね。

包丁などで指を切ってもきれいに傷が治ります。
それは、体には損傷を受けた部分を察知して治そうとする仕組みがあるからなんです。(再生という仕組みです) 爆破されたレンガの壁を新しいレンガを使って治すように、損傷を受けた部分の細胞が増殖を繰り返し、欠損した部分を補いながら修復されてゆきます。

重要な幹細胞

細胞が分裂すると言ってもどの細胞でも同じように分裂するわけではありません。
というのも皮膚の細胞を持ってきてたとえ培養液なるものにつけておいても、皮膚の細胞は増殖しません。 いったん作られた皮膚の細胞や赤血球はそれが二つになったり、四つになったりはしません。 増殖する能力を持った細胞だけが増殖することが出来るんです。 その細胞を幹細胞と呼んでいます。

幹細胞が分裂により細胞を作り出しそれらが皮膚の細胞や赤血球の細胞を供給しています。 皮膚は皮膚の、赤血球は赤血球をつくりだす専用の幹細胞を持っています。 幹細胞から作られた細胞は親子のような関係なので娘細胞ともいわれます。 いわゆるは最終的に人間になりますので、もっとも優れた幹細胞といえますね。

正常な細胞の特徴

・細胞の再生と消失がうまくコントロールされている。
・増殖の回数や寿命がある程度決まっている。
・空間的な増殖の限界がある(傷がふさがるまで増殖した後に自然に増殖が停止するときなど)。
・増殖を専門に行う細胞(幹細胞)から「機能する」細胞(娘細胞)が発生している。





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