膣トリコモナス症

膣トリコモナス症

膣トリコモナス症はあまりメジャーな性感染症ではないのでご存じない方も多いですが、性交渉以外でも感染してしまうことがあります。
ぜひ勉強していってくださいね。

トリコモナスってどんなの?

トリコモナスは細菌やウイルスではありません。
原虫という虫の一種です。小学校の時に習ったミドリムシやゾウリムシも原虫の一種ですね。顕微鏡で見るとなかなかかわいらしい形をしています。

トリコモナスが膣に感染して炎症を起こしたものを膣トリコモナス症といいます。 性交渉で簡単に感染してしまい、最近は数が減ってきていますが、まだまだ重要な感染症の一種です。 膣の中だけではなく、子宮頚管や尿道、またパートナーの尿路や前立腺などにも潜んでいますのでピンポン感染を起こします。男性は女性ほど症状がないのでいつの間にかもらってきて感染させてしまうなんてことも多いようです。

クラミジアなどは若年層に非常に多いですが、トリコモナスは高齢者でも見られ感染者の年齢層の幅が広いのが特徴でもあります。
性交経験のない女性や幼児の感染もあるので性交渉以外の感染経路(下着、タオル、便器、浴槽など)もあります。性交渉以外の感染経路があるということが、感染者の年齢層の幅を広げている理由ですね。

トリコモナス感染の症状は?

男性は尿道炎症状がありますが、軽いものが多いようです。だからこそ感染しても気づかれず他へ感染させてしまうんですね。
女性はおもに膣炎症状を起こしますが、感染者の半分くらいは症状がほとんど無い感染(無症候性感染)といわれています。泡状の悪臭が強い帯下の増加と膣や外陰部の刺激痛や掻痒感(かゆみ)です。

膣の中は乳酸桿菌とよばれる常在菌(私たちと共存している細菌です。腸の中の大腸菌などもそうですね)が沢山すんでいて、膣の中のグリコーゲンを乳酸に代謝してくれています。乳酸は酸の一種なので膣の中が酸性環境に保たれます。そうすることで酸に弱い有害な細菌類が繁殖することを防いでくれているわけです。これを膣の自浄作用といいます。

トリコモナスがいるとこの自浄作用が抑制されて、においの元になる細菌類(大腸菌など)が増殖し、膣表面などに炎症を起こしてしまうといわれています。トリコモナスが直接膣を攻撃しているわけではなく、細菌との混合感染が問題となっているようです。 卵巣からエストロゲンが沢山分泌されている年代は、膣の自浄作用も速やかに改善するので、治療効果が出やすいですが、卵巣機能が低下した中高年婦人はなかなか治りにくいこともあります。

トリコモナス感染の診断は?

新鮮な帯下を少量採取し、顕微鏡下で直にトリコモナスがいることを確認します。
トリコモナスが少ないと見逃すこともあるので、専用の培地による培養が役に立ちます。

膣トリコモナスの治療は?

膣トリコモナスはピンポン感染を起こすので必ず男性女性同時治療が原則です。
男性はトリコモナスの検出が難しいので両者感染していても女性だけが陽性とでることともあり注意が必要です。 薬の治療が第一になります。膣の中だけではなく尿道などにも潜んでいるので、膣錠だけではなく内服薬も必要です。

フラジール錠250mgを一日2錠、朝夕に分けて内服を10日間
フラジール膣錠250mgを1日1錠を膣内に挿入を10日間


上記2種類の薬剤を併用すると効果的です。
治療効果の判定は上記内服治療が終了して2週間くらい間をあけて再検査や症状のチェックを行います。
フラジールを内服している時は飲酒は避けるようにしてください。嘔吐などの副作用が現れることがあります。