淋菌感染症|1/2

ハートの図淋菌感染症 1/2

ハートの図淋菌感染症とは

淋菌という細菌による感染症です。淋菌は高温や低温環境に弱く、増殖に炭酸ガスを必要とするため通常の環境では生存することができません。そのため、性行為感染症として人から人へ感染するのがほとんどです。(銭湯で感染したいり、便器から感染したりすることがほとんど無いということです)

男性、女性とも尿道に感染し淋菌性尿道炎を、女性では子宮頚管も感染しやすく淋菌性子宮頚管炎を起こします。重症化すると体の奥へ感染が広がり(これを上向性感染といいます)、男性では淋菌性精巣上体炎を、女性では淋菌性骨盤内炎症性疾患(PID)を発症します。

まれに全身に感染が広がり敗血症(血液の中にまで感染がひろがること)で死亡することもあります。また、女性の子宮頚管炎は産道感染から新生児結膜炎(目の感染)を引き起こし重症化すると目の角膜を溶かして失明する場合もあるようです。 これは、怖いです・・・。
性器のクラミジア感染症とならんで全世界的に感染者が多い性感染症で、一回の性行為による感染率は30%以上といわれ、すぐに感染してしまうという特徴があります。

男女の尿道炎や結膜炎はひどい症状となりますが、子宮頚管炎は無症状のことも多く厄介な特徴でもあります。性行動が多様化して、咽頭(のど)や直腸の感染も見られるようですが、いずれも症状が出にくいといわれています。 症状が出にくいというのは決して「病気が軽い」と言うわけではありません! 知らないうちに感染して、知らないうちに他の人へうつしてしまう可能性があるということです!

淋菌感染には抗生剤を使用しますが、抗生剤が全く効かない新種の淋菌も沢山発生してきています。これを「耐性菌」といい、これまでの抗生剤では歯が立ちません。(MRSAなども耐性菌ですね。)

以下では個別に解説します。

ハートの図淋菌の検査方法

グラム染色、顕微鏡検査

採取した検体をスライドガラスに乗せグラム染色という方法で淋菌を染色して顕微鏡で淋菌自体の存在を確認する方法です。方法は簡単なのですが、菌の量が少ないと見落としの原因となりえます。

PCR法

淋菌由来のDNAを大量に増幅して淋菌の存在を確認する方法です。この検査は淋菌だけではなく様々な病検体の検出に利用されています。 とても感度が高いのですが、後述するように咽頭部位の検査では無害な常在菌である他のナイセリア属の菌も検出してしまうため、咽頭感染の疑いがあるときは以下のSDA法かTMA法が良いですね。

SDA法とTMA法

この検査はPCR法とは別の方法で対象となる微生物のRNAを検出する方法です。感度はPCR法に匹敵し、しかも他の菌を間違えて陽性とする可能性がとても低い検査です。そのため、咽頭の淋菌検査でも使用可能です。

ハートの図淋菌性子宮頚管炎

子宮頚管に感染がおこると分泌物(おりもの)が増えますがなかなか自覚症状として表れません。 この無症状という特徴があるので男性へうつり、それがまた他の女性へうつり・・・となるわけです。 上向性に感染が進むとPIDを発症しこの場合はおなかの急激な痛みが発生します(急性腹症)。
診断は頚管粘液の培養や核酸検出法(DNAプローベ法)や核酸増殖法(PCR法)で淋菌の検出をします。 尿道性の淋菌感染と比較して、頚管粘液には正常な細胞もたくさん含まれていて、血液や粘液が混入しやすく培養検査でもうまく培養されないこともあります。クラミジアの同時感染が非常に多いので、かならずクラミジア、淋菌の同時検査をやるべきと思います。

ハートの図PID(骨盤内炎症性疾患)

女性に発生します。淋菌だけではなく一般細菌でもPIDは発生しますが、PIDの原因としてはクラミジアの方が多く、淋菌は頻度は少ない方です。PIDが発生すると卵管や腹膜に癒着が発生し、卵管因子による不妊となる可能性があります。