NTと超音波検査

NTと超音波検査

超音波検査で何を見るのか

産婦人科医の聴診器と言っても過言ではないほど、重要な検査となりました。
超音波検査はおもに「形の異常」を検出します。
最近の超音波検査機器の発展は目覚ましいものがあり、非常に細部まで検査をすることができるようになってきました。また、一般的な平面による検査ではなく、立体画像による検査(3Dエコーや4Dエコー)などもあります。

非常に一般的な超音波検査ですが万能ではありません。
外来でよく「赤ちゃんの異常はないですか?」「ダウン症とかの染色体異常はわかりますか?」と質問されますが超音波検査が形の異常を検出するのは得意だけれど、機能的な異常や染色体異常を直接検査することはできないことをお話ししております。

超音波検査は妊娠初期から後期まで使用されますが、妊娠初期には初期で見るべき項目、後期には後期で見るべき項目があります。

胎児超音波検査でどのような異常が分かるのかについては「産科-正常編」-「胎児発育」-「胎児超音波検査」ご覧下さい。

次に妊娠初期に話題になる「NT」について解説します。

NTとは

妊娠初期の胎児超音波検査、出生前診断で重要なものが
NT(nuchal translucency)
と呼ばれるものです。 日本語で「胎児後頸部浮腫(透明帯)」と呼ばれ、赤ちゃんの首の後ろに形成される薄く水分がたまった(浮腫)部分のことです。

この部分が厚くなっていることを「NTの肥厚」といいますが、1992年にNTの肥厚が高度であればあるほど、ダウン症の発生頻度が高くなるという研究結果が報告され世界中でスクリーニング検査の一つの方法として活用されるようになってきました。

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NTの注意点

実は、外来で妊婦健診をしているとNTの肥厚を見ることはよくあります。
このNTは、妊娠3ヶ月くらいでは正常でも異常で見られる所見の一つなんです。
NTの肥厚はそれがあるだけで、即、ダウン症ですというのではなく「正確な測定をして、どのくらいの厚みがあるのか」というのがとても重要になります。

NTが肥厚していた時の解釈で重要なのが、この検査が「確率がわかる」検査だという点です。
NT肥厚は3.5ミリ未満では染色体異常の確率は0.5%(1/500)ほどですが、4ミリになると20%、5ミリだと30%、6ミリだと50%と確率が増加すると報告されています。
6ミリの肥厚でも見方を変えれば半分は健常児であるといえます。

NTの測定方法

NTは正確な測定方法がとても重要になります。
イギリス、ロンドンにあるFetal Medicine Foundationという団体が行っているテストにパスするとNT測定のライセンスがもらえます。また同団体が提供しているNT測定後の染色体異常を算出するソフトを使用することが可能となります。

このライセンスを持たないとNTを測定してはいけない、という訳ではありません。
ライセンスを持っているということはそれだけ正確に測定し、的確なアドバイスを行うことができる専門家と言えますので、できる限りこのライセンス所有者にNT測定をしてもらうことをお勧めいたします。

具体的な測定方法や条件を以下に書きます。
NTの正確な測定方法と条件
1手技を十分に習熟している
2経腹でも経腟超音波でもどちらでもよい
3妊娠11週0日〜13週6日に測定
 (CRL45〜84mm)
4正確な矢状断で
5軽度屈位の自然な姿勢の時に
6画面全体に胸部から頭部まで拡大
7胎児の皮膚と羊膜に注意
8最大の距離を測定値とする
9測定は線内側上で(on-to-on)
10合計3回測定し最大値を採用
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NT肥厚の評価

NT測定後の染色体異常リスクの推定は

○母体の年齢によって変動する染色体異常の確率
○胎児の大きさ(CRL)や妊娠週数で補正されたNTの厚さ
○その他の超音波検査所見
  (胎児鼻骨の有無、動脈管逆流、三尖弁逆流など)

を専用のソフトに代入して算出されます。

染色体異常の確率が確率が高く患者さんの希望があれば、羊水検査などの確定的検査へ進みます。

他の検査方法との併用

NT測定に加えて、母体血液中のPAPP-A(Pregnancy associated plasma protein-A)やfree hCGベータという物質を測定を併用することでより正確に染色体異常を推測することが可能となります。

日本においてここまでのスクリーニング検査を行っているところは少ないですが、海外では妊娠初期に積極的に行われているスクリーニング方法なんです。




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