臍帯

臍帯(へその緒)

「へその緒」のことを「臍帯」といいます。
母体から栄養をもらい成長する哺乳動物である証ですね。 胎盤と胎児をつないでいる管で個人差がありますが、長さは50〜60センチくらいで太さは大人の中指くらいです。

臍帯の内部には3本の血管がありますが、血管がむき出しになっているのではなく、血管の周囲には軟らかい組織が取り巻いています。 (触るとこんにゃくのようにぷりぷりしています。) 3本の血管は1本の太い臍静脈と2本の細い臍動脈で構成されています。 太い臍静脈が母体から胎児への流れで、栄養や酸素をふくんだきれいな血液(動脈血)が流れています。 細い臍動脈が胎児から母体への流れで、老廃物や二酸化炭素をふくんだ血液(静脈血)が流れています。 一般的には動脈には動脈血が流れているのですが、臍帯の血管は逆なんですね。(これは医学部の試験によく出てます(^o^))

胎盤は血管の固まりです。
まさに木の根のように沢山の血管が集合して最終的には臍帯につながる3本の血管になります。 3本の血管はねじれながら走行しています。 固定電話の電話機が胎盤で、受話器が胎児とするとその間のぐるぐるまきのコードのような感じです。 ねじれていると言うことは伸縮性があり、また圧迫に強いという利点があります。

超音波検査で臍帯の断面をみると三つの穴が見えてまるで口を開いた顔のようです。 胎児を見る時にぜひ臍帯を見せてもらってください。 超音波検査のドップラーモードという機能で血液の流れをみて赤ちゃんの元気の良さを予想することもあります。

胎盤と臍帯と胎児の関係をご存じない方も多いので図で解説します。
子宮の内側に付着した胎盤は母体から栄養や酸素を受け取り胎児へ送ります。その通路が臍帯で、その臍帯は赤ちゃんの腹部に付着しています。これは後にいわゆる「へそ」となる部分ですね。

臍帯と胎児の図


分娩後、臍帯を3センチほど赤ちゃんのおなかに残して、はさみなどで切断して臍帯と胎児を分離します。 赤ちゃんのおなかに残った臍帯の一部は出血しないように専用のクリップ(臍帯クリップ)や凧糸などの頑丈な糸で結紮(しばること)します。この部分はだんだん乾燥し、黒っぽくなり生後7日から14日で自然に脱落します。お母さんがあかちゃんのへそのを桐の箱に保管しているのはこの脱落した臍帯の一部なんですね。表現が悪いかもしれませんが、イカの干物の足のような感じで乾燥し、固くなり変色します。
臍帯脱落の図

臍帯の異常

臍帯にはいろいろな異常があります。
1.5センチくらいの臍帯で赤ちゃんは酸素化されているのでまさに命綱です。 ほんのちょっとしたトラブルが赤ちゃんの死に直結する可能性は想像しやすいかと思います・・・。 (胎児が子宮の中で苦しくなっている状況を「胎児仮死」と表現していましたが、適切ではないので最近では「胎児ジストレス」と表現しています。しかし、ここではまだ胎児仮死の用語を使います。)

胎盤から臍帯が生えている位置の異常(付着の異常で辺縁付着、卵膜付着など)

普通は臍帯は胎盤の中央もしくは中央から少しずれた位置から生えています。 それが胎盤のぎりぎりはじっこから生えていることを辺縁付着といいます。 さらに胎盤から完全にはずれて周囲の卵膜から生えていることを卵膜付着といいます。 これらの臍帯付着異常があると血流が悪くなり赤ちゃんが大きくなれなかったり、分娩時に臍帯が圧迫を受けやすく胎児仮死となったりする可能性が高くなります。 臍帯の付着部位は妊娠初期に経膣超音波検査で確認しておくことが大切です。 発見しても治療はできませんが、分娩の時に心の準備ができます。

臍帯血管の数の異常(単一臍帯動脈)

通常は2本ある臍帯動脈が一本しかない異常です。 臍帯の血管が最初から2本しか作られなかった場合と、途中で1本が退化してしまった場合があります。 ほとんどがなにも症状がありませんが、単一臍帯動脈には他の奇形を合併する頻度が高く、臍帯の異常から心臓の奇形が発見されることもあります。

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臍帯のねじれの異常(臍帯過捻転など)

臍帯はらせん階段の様に捻れていますが、ねじれすぎるている異常(過捻転)とねじれがほとんど無い異常(過少捻転)があります。 どちらでも血流が低下しやすく胎児仮死の原因になりえます。

臍帯が結ばれてしまった異常(真結節など)

真結節は結び目のことです。 臍帯はひも状なので胎児の動きによって結び目ができてしまうことがあります。 緩く結び目ができるのは何の影響もありませんが、きつく結ばれてしまうと血流が遮断し胎児仮死、もしくは突然の胎児死亡となることもあります。 超音波検査でもなかなか発見はされず、分娩後に臍帯を観察してわかることがほとんどです。

赤ちゃんの首や胴体に巻き付いている異常(臍帯巻絡)

これはよく見かけます。 首や肩に臍帯が巻いている状態です。 一般的には一回巻いていることが多いのですが、3回くらい首に巻いていて、そのため臍帯のフリーの部分が短くなりなかなか分娩が進行しない(赤ちゃんが降りてこない)こともあります。

臍帯が赤ちゃんよりも先に膣の中に出てきてしまった異常(臍帯下垂、臍帯脱出)

臍帯は赤ちゃんが出てから出てくるものです。 ときには臍帯が赤ちゃんの頭の下に滑り込んで臍帯が赤ちゃんよりも先に降りてくることがあります。 破水前だと臍帯下垂、破水後だと臍帯脱出といい、私たちがもっとも大急ぎで帝王切開を行う必要がある状態です。 完全に臍帯が膣の中にでてその後赤ちゃんの頭が下がってこようとすると命綱である臍帯を完全に圧迫、血流遮断して数分で胎児死亡となります。

どうですか?
臍帯だけでもこれだけの異常があるんです。
これであなたも「臍帯博士」です。





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