流産手術|1/2

流産手術 1/2

ここでは流産の手術に関して具体的に解説します。
いわゆる人工妊娠中絶も方法は「流産手術」と同じです。

流産手術の目的

完全流産は絨毛組織が自然に完全に排出された状態で、hCGも急速に減少して月経、排卵が再開されます。そのため完全流産では流産手術は必要ありません。

不全流産や稽留流産は大部分は排出されているか、もしくは、胎児の心拍は停止している状態です。絨毛組織(母体と胎児の物質の交換の場となる部分です)が残っているとhCGというホルモンの分泌が持続するため次の排卵、妊娠ができません。 (この場合妊娠反応をしても”陽性”という結果になります)

絨毛組織を完全に取りのぞき、排卵再開を促し、次の妊娠に備えることが流産手術の目的になります。

流産手術のながれ

「流産手術」は「子宮頚部の拡張と子宮内容掻爬」(D & C)といわれます。 手術器具を子宮内まで挿入するために子宮の入り口を開く必要があり、その後子宮の中に残存している組織を(絨毛成分、胎児成分)を掻きだし摘出します。

手術前の準備

すでに数回の分娩を経験され方や進行流産の方はすでに子宮頚部が開いていますのでほんの少し頸管を開かせるか、もしくはそのままでも手術器具を挿入することができます。 つまり、事前の準備がなくても直ぐに手術をすることができます。

分娩を経験したことのない方や帝王切開術後などで子宮頸管がまったく開いていない状態では、事前の準備が必要です。 手術を決定して頸管が開いていないときは子宮の頸管を拡張するための前処置を行います。 このことを「頸管拡張」といいます。

手術前日の夕方などに来院していただき、膣内を十分に消毒し、子宮頚部をつまんで下に少し引っ張り子宮頚部に時間が経つと膨張したり子宮頸管が柔らかくなったりする棒状のものを挿入します。

この棒状のものとして以前はラミナリアという海藻から作られた製品がよく使用されていました。水につけると増える乾燥わかめのようなものです。挿入したラミナリアは数時間から半日経つとその直径が数倍になり、純粋に物理的な力の医で子宮頸部を拡張してくれます。

最近では頸管拡張には子宮頸部を柔らかくする薬剤を含んだラミセルや先端が若干曲がったラミケンRという製品が使用されます。含まれる薬剤が科学的に子宮頸部を拡張してくれます。 子宮頚管の狭いところに詰め込むように挿入するので若干の痛みを伴いますが決して麻酔が必要なほどではありません。

ラミケンR挿入の図

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流産手術の具体的な方法

ラミケンRなどを挿入して数時間経過すると、子宮頸管が広がるので手術器具が子宮内まで挿入することができるようになります。 手術当日、内診台もしくは手術台に乗り、内診の時のように姿勢をとります。 手術中は看護師さんが最低一名は助手で付き添います。

この後、子宮頸管をもう少し広げる必要があるときは専用の器具(ヘガール子宮頸管拡張器)をつかって子宮頸管を拡張します。 ヘガールは3ミリほどの直径の細いものから10ミリ以上の太いものまで段階的に太さが変化します。(合計10本くらい)この器具を小さい順番に子宮頸管に挿入して、徐々に子宮頸部を拡張して行きます。このとき痛みを伴いますのでこのあたりから静脈麻酔などで意識や痛みを取り除きます。 もちろん、麻酔中の血圧や呼吸の状態は枕元あたりにいる看護師さんや医師が監視しています。

頸管拡張の図

頸管が十分に拡張したら、ピンセットの先端を大きくした様な器具(胎盤鉗子といいます)で子宮内の組織をつまむようにできるだけ取り出し、その後、取りきれない小さな組織片を耳かきを大きくなった様な器具(キュレット)で掻き出して子宮内をからっぽの状態にします。

流産手術の図

摘出した子宮の中の組織は確認のため病理学的検査へ提出されることもありますが、肉眼的に異常がなければ提出されないことも多いです。 (肉眼的には、きちんと絨毛を取り出すことができているか、絨毛に胞状奇胎の疑いはないかなどをチェックします)

手術時間は5〜10分くらいです。

終わりましたよと声をかけられたことも覚えていないかもしれません。 しばらくはベッド上安静を行います。 一般的には2時間くらいすると意識も完全に戻りトイレにも行けるようになります。

日帰り手術を行っているときは数時間、そうでないところは翌日の退院となります。 このとき感染予防の抗生物質、痛み止め、子宮収縮剤などの内服薬が処方されることが一般的です。

一週間後の外来受診で異常がなく、2週間から4週間目くらいで次の月経がくれば今回の妊娠に関しては終了となります。

手術の費用

一連の手術にかかる費用ですが、流産手術は流産という病気に対して行われるので健康保険が使えます。
日帰りかどうかでも違いますが数万円ほどになります。

人工流産(中絶手術)は健康保険は使えませんので自費診療となります。自費診療なので費用は施設によりかなり違いますが、一般的には10万円以上くらいです。 また比較的大きな公的な病院では人工流産の手術をお断りしているところもありますので事前に確認が必要です。





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