卵子の形成
卵子形成について解説します。
女の子がお母さんのおなかの中にいるころ、赤ちゃんの卵巣の中で作られた未熟な生殖細胞である「卵祖細胞(oogonium)」が細胞分裂を繰り返し出生前に既に
「一次卵母細胞(primary oocyte)」を形成しています。
卵母細胞が形成されるとその周りを卵巣内の結合組織細胞が包み込み、最初の卵胞である「原始卵胞(primordial follicle)」が形成されます。お母さんのおなかの中にいるうちに卵母細胞は
第一減数分裂を開始しその前半で休止状態に入ります。
このときDNAの倍加が行われます。
精子の場合は精祖細胞という未熟な細胞の状態のまま思春期まで休止状態になるのでしたね。
精子と卵子の大きな違いのひとつです。
女の子の赤ちゃんが出生し、思春期で排卵が始まるまで第一減数分裂の前期のまま休止状態が続くことになります。
例えば40歳で排卵する卵子はこの世に生まれて40年も経過した卵子が排卵していることになります。
このことが排卵し、妊娠する女性の年齢が高齢となればなるほど、染色体の異常が発生しやすくなり理由として考えられています。
お母さんのおなかの中にいる頃に大量に作られた原始卵胞は600万個ほどになりますが、既に減数分裂に入っていますのでその後新しく卵子になる細胞が作られることなくその数はどんどん減少してゆきます。
出生時には原始卵胞は100万個ほどに減少し思春期ころには20万個ほどになっています。
思春期後排卵するようになり一生のうちで約400個から500個を排卵する計算になります。
思春期以後に精子はいくらでも作り出すことができるので、造幣局でお札をどんどん発行していくイメージに似ています。
対照的に卵子は出生前に作った卵子を減少させていくので最初に作った沢山の貯金を少しずつ崩していくという感じですね。
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さて話を戻します。
思春期に入り排卵が始まると排卵直前の
「LHサージ」というホルモンの急上昇がきっかけとなり休止していた第一減数分裂が再開されます。
倍加していた染色体上で遺伝子の組み換えが起こり、遺伝子の多様性が生まれます。
排卵の直前で第一減数分裂が終了し、「二次卵母細胞(secondary oocyte)」が形成されます。
ここで重要なのは一次卵母細胞から2個の二次卵母細胞が形成されるのではなく、
1個の二次卵母細胞と1個の「第1極体(first polar body)」が形成されることです。
第一極体にDNAは含まれますが、細胞質がほとんどなく、その後退化してしまいます。
二次卵母細胞は排卵後すぐに第二減数分裂を開始しますが途中でまた休止します。
ここで精子が侵入し受精となりますが、精子侵入開始と同時に第二減数分裂が再開します。
受精が完了すると二次卵母細胞は第二減数分裂を完了し成熟した卵子と「第二極体(secondary polar body)」になります。
この第二極体が放出されて、卵細胞の成熟は完了します。
卵子の核と精子の核が融合して「受精卵」となります。
第一極体と第二極体は退化して消えてしまいます。
極体は染色体を含んでいますが、機能的な意味がないので取り出して、出生前検査などに使用されることもあります。
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