受精から着床まで

受精から着床まで

ここでは精子と卵子が出会って受精し初期の細胞分裂を繰り返し、着床するまでを解説します。

受精

射精された精子は膣、子宮頸部、卵管を経て卵管膨大部で卵子を出会います。
一回の射精で数億個の精子が室内に放出されますが、卵管膨大部に達する精子は数百個と言われています。 異常がある精子、運動率が悪い精子は淘汰されるような仕組みが備わっているのですね。

精子が卵子と接触し、卵子の表面のバリアを貫通して精子内の核と卵子内の核が融合することが受精です。

卵子形成の図

精子の先端からタンパク質を分解する酵素が分泌され、卵細胞と透明帯を取り囲む放線冠(corona radiata)という顆粒膜細胞の層を精子が通過し、卵細胞を取り囲む透明帯(zona pellucida)を貫通し卵細胞膜から卵細胞質内へ侵入します。

1個の精子が透明帯を通過すると透明帯の性質が変化し、他の精子が卵子へ侵入することを防ぎます。 これは多精子受精を防ぐうまくできた仕組みですね。

精子が侵入した後、第二次減数分裂の中期で休止中だった卵細胞は分裂を完了し、成熟卵細胞と二次極体を形成します。 成熟した卵細胞の核は女性前核(female pronucleus)へと、卵細胞内で精子の核が大きくなり男性前核(male pronucleus)へと変化します。

それぞれの核膜が消失して23本染色体が融合して46本の染色体となります。
スポンサーリンク


受精卵の卵割と子宮内への移動

受精した卵子は当然ひとつです。
これから何回も卵割(cleavage)を繰り返し最終的には60兆もの細胞をもつ赤ちゃんへ育ちます。

受精30分後から卵割が始まります。

卵子形成の図

次々と卵割を繰り返し(1個の細胞が2個になり、4個になり、8個と)、次第に小さな割球が形成されます。

この頃の細胞のひとつに染色体の不分離(染色体が奇麗に半分に半分に分離しないこと)が起こると正常な染色体と数が違う染色体の2系統の細胞が分化してゆきます。 このような状態を「染色体のモザイク」といい、ダウン症などでも軽症はこの染色体モザイクの可能性があります。

8細胞期以後は割球はその形が変わり、互いに密に配列し球状の形になります。 この時期あたりからバラバラだったそれぞれの割球がお互いに接着(compaction)するようになります。 この接着には接着専用の糖タンパク質というものが介在しています。

受精後3〜4日で12〜15個くらいの割球になると桑実胚(morula)という形態をとります。 桑実胚となるとそれぞれの細胞の境界がはっきりとしなくなり融合しているようにも見えます。
スポンサーリンク


桑実胚となるころ、卵管を移動してきた受精卵は子宮内へ入ります。 およそ受精後4日目ころに胚盤胞腔と呼ばれる液体で満たされた空間が桑実胚内に発生します。 この液体が増加してくると割球は2種類の細胞に分かれていきます。 この状態と胚盤胞(blastcyst)と言います。

胚盤胞内の2種類の細胞はそれぞれ「外細胞塊(outer cell mass」と「内細胞塊(inner cell mass)」といいます。 外細胞塊はのちに胎盤の一部となる栄養膜(trophoblast)となり、内細胞塊は赤ちゃんそのものとなります。

ちなみにこの内細胞塊はあらゆる細胞に分化する能力を有しており分離培養して胚性幹細胞(ES細胞)を作成することができます。 この頃に何らかの理由で受精卵が二つに分離してそれぞれが独自に発育するといわゆる一卵性双胎として発生します。

これまでそれぞれが同じ形、機能をしたただの固まりでしかなかった細胞が機能を持った細胞に分化する瞬間ですね。

子宮内膜への着床

胚盤胞は2日ほど子宮内を浮遊して、周囲を覆っていた透明帯が消失(孵化=ハッチング)し胚盤胞は急激に大きくなります。

だいたい受精から6日後くらいに内細胞塊近くで子宮内膜と接着し、すぐに栄養膜が急速に増殖を開始し内側の細胞性栄養膜細胞層(cytotrophoblast)と外側の栄養膜合胞体層(syncytiotrophoblast)に分化します。 後者は細胞というよりも子宮内に侵入するための「アメーバー」の様な細胞境界がない固まりのようなものです。 この細胞が子宮の表面の膜をどんどん食べながら侵入してゆきます。

同時に胚盤胞は子宮内腔に埋没していき、その表面が再度子宮内膜に覆われてしまいます(着床)。 この栄養膜合胞体層がhCGというホルモンを分泌し始め、母体の尿にこのホルモンが検出されるようになるといわゆる尿検査で妊娠反応が陽性となるのです。




スポンサーリンク