糖尿病と妊娠|1/2

糖尿病と妊娠 1/2

糖尿病は体の中の糖分の代謝がうまく機能せず様々な問題を起こしてくるとても重要な病気です。
糖尿病は血糖値が上昇することが特徴ですが、この血糖値の上昇がどのように妊娠に影響するのか、また妊娠中の管理はどのように行われるのかを解説します。

妊娠中の糖代謝異常はなぜ悪いのか

糖尿病(糖代謝異常)と妊娠に関する細かな定義などは後ほど解説します。
まず最初に糖代謝異常が妊娠に与える影響について。

赤ちゃんへの影響

糖分が多いと赤ちゃんがどんどん大きくなっていいんじゃないの?と思われる方も多いです。
しかし、糖代謝異常で重要なのが赤ちゃんが大きくなりすぎる点です。 いわゆる巨大児(4000g以上)となると分娩時、難産となりやすくなります。物理的にお母さんの骨盤を通過できないCPDや頭は出たけど肩幅が大きすぎて恥骨に引っかかる肩甲難産、それに伴う低酸素脳症や腕の骨折、鎖骨骨折なども発生しやすくなります。

妊娠後期に発生する突然の胎児死亡も重要な合併症です。 軽症の糖尿病合併妊娠の方でも「なんだか赤ちゃんが動かないんですけど。。。」と電話があり胎児死亡していたという経験が2度ほどあります。 そのため、糖尿病合併妊娠の方は巨大児予防以外に、この胎児死亡が起きる前に、という意味合いで陣痛初来前に計画分娩をすることもあります。

糖尿病合併妊娠から生まれた赤ちゃんが大きくなって将来、生活習慣病になる可能性も指摘されています。
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お母さんへの影響

巨大児の出産は当然母体の合併症も増加させます。 大きな赤ちゃんを出産するため膣壁や直腸、肛門などの裂傷がひどくなる可能性があります。

またあまりにも大きすぎると帝王切開術のリスクも増加します。
糖尿病という病気自体が母体の目の病気(糖尿病性網膜症)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)を悪化させます。 糖尿病の重症化の際に緊急対応が必要となるケトアシドーシスという病態は、母体死亡につながる非常に危険な状態です。

妊娠中の糖代謝異常は妊娠中だけ注意すればよいのではありません。 分娩後数年から数十年後、本当に糖尿病になる率がとても高くなるとも言われます。 そのため、分娩後も内科的なフォローが必要となります。

妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠

一件同じように見えますが定義が違います。
以前は、もともと糖尿病と診断されている女性が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」、妊娠中に糖代謝異常と初めて診断された場合は「妊娠糖尿病」と言われていました。

この定義だと元々糖尿病があってもたまたま診断が下されていなかっただけの妊婦さんと妊娠中に発症した軽症の糖代謝異常の妊婦さんも同じ「妊娠糖尿病」と診断されてしまう弊害がありました。 当然、その合併症の発生率に違いがあるはずですが、それが同じ分類で議論されてしまうわけですね。 そのため、2010年に妊娠中の糖代謝異常の分類方法が改訂されました。

「妊娠糖尿病」はより厳密に

「妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常で、明らかな糖尿病(overt diabetes)は含めない」

となりました。 診断基準などは後述しますが、妊娠糖尿病は糖尿病合併妊娠よりも軽症といえます。 妊娠糖尿病をスクリーニング検査で発見して、厳重な管理をして様々な合併症を予防しようというわけです。

以下では妊娠糖尿病を中心に解説します。





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