子宮筋腫と妊娠

子宮筋腫と妊娠

子宮筋腫とは

子宮筋腫は子宮に発生する良性の腫瘍です。
小さなものまで含めると女性の3人に1人は子宮筋腫を持っていると言われます。 とてもありふれた腫瘍で、3センチ以下の小さなものだとあまり症状はありません。 子宮筋腫はどこに発生するかでその症状に違いがでてきます。

粘膜下筋腫

子宮の中の方にできるものを「子宮粘膜下筋腫」とよび、これは小さなものでも月経量が多くなったり、月経痛がひどくなったりと症状がでやすいですね。また妊娠の場である子宮内膜に突出しているので不妊の原因ともなり得ます。

漿膜下筋腫

子宮の表面近くに出来て子宮にくっついたこぶのように発育するタイプを「子宮漿膜下筋腫」といいます。 このタイプはかなり大きくなっても子宮自体の形態が正常に保たれていることも多く症状がでにくいですね。 直径が20センチくらいの大きさになってもちょっと太ったかなという程度で腹部の突出以外に無症状であることも珍しくないです。たまたま子宮がん検診などで産婦人科を受診して大きな筋腫が見つかることもよくありますね。

筋層内筋腫

子宮の筋肉の内部にはまり込むように発生するタイプを「子宮筋層内筋腫」といいます 妊娠の際に特に問題になるのはこのタイプですね。 子宮筋層内に発育するため子宮の変形を来したり、胎盤の付着直下にある場合は胎盤の早期剥離や癒着胎盤を起こす可能性もあります。

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子宮筋腫と妊娠

子宮筋腫を持った女性が妊娠した場合は子宮筋腫合併妊娠といいます。
年齢が増すごとに子宮筋腫の頻度も増えるので、昨今の妊娠の高齢化に伴い子宮筋腫合併妊娠は増えていると言えます。 子宮筋腫の数が増えるほど、また大きさが大きくなるほど一般に妊娠に与える影響も大きくなります。 子宮筋腫の何センチ以上がハイリスクかと決めることは難しいですが、3センチくらいで2、3個くらいの筋腫ならあまり影響がないと思います。ただ、10個近くあったり直径が5センチ以上くらいになると総合病院での管理がよいでしょう。

妊娠中の問題点

流産や早産の率が高くなります。
子宮筋腫の真上に胎盤があると胎盤の有効面積がせまくなり胎児発育不全が発生しやすくなったり、子宮筋腫の表面と胎盤の面が妊娠中に剥離してしまう常位胎盤早期剥離のリスクも増加します。 胎盤の剥離があると当然ながら子宮内胎児死亡の率も高くなります。

妊娠中に子宮筋腫の変性による疼痛や感染も起こりえます。 子宮筋腫合併の2割くらいに子宮筋腫の増大が見られます。 子宮筋腫合併妊娠は比較的良くあり、ほとんどは何事もなく経過してゆきますが中には急変する例もあり注意深い観察は必要と思います。もともとかなり大きな子宮筋腫が妊娠中、途中から血流を得て急激に増大し大変な状況になった例を見たこともあります。

分娩時の問題点

子宮筋腫が沢山あると子宮の有効な収縮が得られず、陣痛異常をおこすことがあります。 また、子宮筋腫が産道の近く、つまり子宮体下部にあると赤ちゃんが産道を通過するのに邪魔になる産道通過障害も起こりえます。 子宮筋腫が子宮内腔の変形を来たし、逆子や横位といった胎位異常を起こすので帝王切開術の率も上昇しますね。

分娩終了後に子宮筋腫が邪魔して子宮がうまく収縮してくれない弛緩出血、胎盤が子宮筋層ではなく子宮筋腫表面に強固に癒着する癒着胎盤となることもあります。いずれも産後の大出血を起こす可能性がある疾患です。

いざ帝王切開となっても、子宮を切開するのに子宮筋腫が邪魔になったり切った子宮筋層を縫合するのに筋腫が邪魔になったりすることもあります。 

出産後の問題点

分娩後は本来しっかりと子宮が収縮して元の大きさに戻って欲しいのですが、それが遅れてしまう、子宮復古不全や悪露の停滞、産褥期の感染も起こりえます。

妊娠中の管理について

子宮筋腫合併妊娠は基本的に注意深く経過観察がなされます。
まれに妊娠中に子宮筋腫だけを取り出す「子宮筋腫核出術」が行われることあります。 これは子宮筋腫が急激に大きくなってきたとき、変性により疼痛のコントロールが出来ないとき、子宮筋腫があることで妊娠継続に障害が出る場合などやむ得ない場合に限られますね。

また帝王切開術の際に筋腫核出術を行うことは出血量が増大するという理由で勧められないのが一般的ですね。




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