子宮頸がんと妊娠

子宮頸がんと妊娠

以前は妊娠と子宮頸がんが合併することは少なかったのですが、昨今の晩婚化と子宮頸がんの若年化で子宮頸がん合併妊娠の頻度は高くなっていると言われます。
今回のタイトルは「子宮頸がんと妊娠」ですが、妊娠初期に子宮頸がんのスクリーニング検査で陽性(異常あり)となった場合の対応も解説します。 つまり内容は「子宮頸がん検診で異常ありと妊娠」という内容になりますね。

子宮頸部細胞診異常の妊娠中の管理

妊娠してはじめて産婦人科を受診することが多い日本では妊娠初期に子宮頸がん検診を積極的に行うことが勧められます。 子宮頸がんのスクリーニング検査は子宮頚部の細胞を採取する細胞診で行われます。 この辺りのことは当サイトの「子宮頸がん」をご参照ください。

子宮頚部の細胞診で異常が出た場合(ASC-US、ASC-US、LSIL、HSIL、AGC、AISなど)は基本的には妊娠していないときと同じ管理方針となります。
LSIL以上が出た場合は精密検査であるコルポスコピーを行い、必要に応じて子宮頸部の一部を切り取ってくる「生検」を行います。
これは「組織診断」ともいいます。

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妊娠中は子宮頸部が出血しやすい状態なので非妊時よりも出血が多くなりますが、圧迫や硝酸銀などで止血は可能です。
妊娠中は子宮頸部の「びらん」が外側に広がってくるのでコルポスコピーで観察しやすくなりますね。

ASC-USではハイリスク型のパピローマウイルスに感染しているか否かのHPVテストを行いコルポスコピーを行うか、もしくは細胞診を再度行い経過観察となることもあります。

コルポスコピーや組織診で浸潤癌が否定的となれば(CINまで)2〜4ヶ月毎に細胞診やコルポスコピーなどで経過観察を行い、分娩後最低6週間ほどおいて、再評価を行います。 妊娠、分娩後に異常細胞診が出ていたものが正常細胞診へと変わることは珍しいことではありません。

妊娠に子宮頸がんの浸潤癌が合併することはそう多くなく、たいていの子宮頸部細胞診異常は妊娠中経過観察となる確率が高いです。

ただし、以下の場合には妊娠中であっても診断的および治療的円錐切除術が必要となります。 LEEPや従来からあるメスによる円錐切除術が行われますが、円錐切除により流早産、破水などの可能性もあります。

円錐切除術が検討される場合
組織診が微小浸潤癌である
組織診が上皮内癌だが、細胞診で浸潤癌を疑う所見がある
組織診が上皮内腺癌(adenocarcinoma in situ ; AIS)である
もし、妊娠中に円錐切除を行う場合は妊娠14〜15週ころがよいとされています。
出血が多くなることと妊娠継続に必要な残存子宮頸管の長さを確保するため、円錐切除は通常よりも浅い切除が行われることが多いですね。

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円錐切除術を行い、結果が子宮頸がんIa1期までで、脈管侵襲(小さな血管の中に癌細胞が見つかること)がなければ経過観察は可能でしょう。妊娠中の浸潤癌は75%が扁平上皮系、25%が腺系で浸潤癌の70%がI期と言われています。

それ以上に進行した子宮頸がんの場合は妊娠継続は難しいかもしれません。 がんが進行すると母体の命に関わることなので妊娠継続に関しては主治医と患者さんと十分な説明と相談が必要となります。 (妊娠週数や癌の広がりによっては妊娠継続、分娩後の治療が選択されることもあり得ます)

円錐切除術後の妊娠は早産のハイリスクとなり得ます。 妊娠中は子宮頸管の短縮や子宮収縮の症状に注意する必要があります。
子宮頸部の縫縮術(医療用の布製のテープで子宮頸部を縛ってしまうこと)は全例で行う必要はありませんが、頸管短縮例では有効な手段とも言われます。

最後に子宮頸がんワクチンの接種について
現在子宮頸がんワクチンは「サーバリックス」と「ガーダシル」が使用可能ですが、妊娠中にワクチン接種は勧められません
分娩後の授乳中には子宮頸がんワクチンの接種は可能です。




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