妊娠とC型肝炎

妊娠とC型肝炎

C型肝炎ウイルスが肝臓に感染し炎症を起こすことをC型肝炎といいます。 C型肝炎に感染している人をキャリアといいますが、C型肝炎キャリアの妊婦さんは赤ちゃんへの感染を考える必要があります。

ただ、残念ながらB型肝炎のようにワクチンがまだ開発されていないため効果的な予防対策がありません。 その辺も含めて妊娠とC型肝炎について解説します。

C型肝炎とは

C型肝炎ウイルスの構造と抗原、抗体

C型肝炎ウイルスの感染による肝臓の炎症です。
中心にRNAを持つRNAウイルスです。
RNAの周りはコアがあり、その周りにエンベロープという外殻があります。 このあたりはB型肝炎ウイルスと似ています。

 C型肝炎ウイルスの図

中心部のコアに対する抗原がHCVコア抗原でHCVに感染すると体内で作られるのがHCV抗体です。 B型肝炎のように抗体に細かな分類はありません。 感染の有無をスクリーニングする検査ではHCV抗体の有無を検査します。 抗体が陽性であれば現在感染があり、もしくは以前感染していたとなり、陰性であれば感染なしという解釈です。

HCV抗体が陽性であれば、現在感染している状態かどうかを判定する必要があり、その検査が「HCV-RNA」検査です。 体内にどれだけの量のC型肝炎がウイルスがいるのか?を直接調べるために使用されます。 検査結果は「検出」と「検出されず」と判定され、「検出されず」は既往感染といって現在感染をしていない状態です。 「検出」はHCVに現在感染していることを表し、持続感染(キャリア)といいます。 HCVコア抗原も感染の有無を意味しますが、HCV-RNAの方が検査精度が高いために感染リスクの評価に使用されます。

肝臓癌の原因の80%がC型肝炎の持続感染です。 肝臓は予備能力が高い臓器なのでかなり広範囲がダメージを受けないと症状が出てきません。 そのため、積極的なスクリーニング検査が重要となります。

C型肝炎の感染経路

C型肝炎は感染者の血液を介して感染します。 輸血によるC型肝炎の心配は現在ではほとんどありませんが、入れ墨やピアスの穴あけ、麻薬や覚醒剤の打ち回し、感染者の使う歯ブラシやひげ剃りなどを共用すると感染するといわれます。 血液が付着していない状態での握手や入浴では感染することはありません。

C型肝炎の経過

血液を介して感染し、急性肝炎を起こすこともありますが、多くは不顕性感染といって何の症状もありません。 感染後60~80%が慢性化(キャリア化)すると言われています。 慢性肝炎では約20年ほどして30%くらいが肝硬変に進行し、その後少数が肝臓癌に進展すると言われます。

残念ながらC型肝炎のワクチンは開発されていません。 これは、HCVを構成しているエンベロープという周りの膜の構造が変化しやすいため、ワクチンを作ったときには既にその構造が変化してワクチンの効果が発揮できないためです。 早く開発されるとよいですね。

妊娠とC型肝炎

B型肝炎と違ってHCVでは母子感染は多くはありませ。 母子感染はキャリア妊婦さんの中でも5~10%ほどといわれます。 しかし、HCV-RNAが高いほど感染のリスクは高くなりますので、「検出」の場合はどのくらいの量があるのかも重要となります。

感染経路は妊娠中に胎盤経由もありますが、その多くは分娩時の産道感染と言われています。 そのため、帝王切開で感染率を低下させることができるというデータも存在します。 ただ、絶対に感染を防ぐことが出来る訳ではないこと、もし感染しても感染率は低率でさらに3歳ころまでに自然治癒する可能性もあること、帝王切開も全くリスクがない訳ではないことなどから積極的に帝王切開を勧めるほどではありません。 分娩方針をどうするのか?医師ー患者さんでよく相談してください。

HCV抗体陽性でHCV RNA陰性で母子感染の報告はありません。 しかし、妊娠中にRNA量は変動することもあるので、妊娠後期に再度RNAの検査をすることが勧められます。

分娩後母乳を与えることで肝炎の感染リスクは上がらないとされていますので授乳はあきらめる必要はありません。

C型肝炎はワクチンが存在しないためB型肝炎のように予防的対策はできません。 しかし、出生したお子さんが感染していないかどうかを検査して感染していればしっかりと治療を受けることで将来的に肝硬変や肝臓がんになる率を減らすことはできると思います。





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