帝王切開の母体に対するリスク|1/2

帝王切開の母体に対するリスク 1/2

帝王切開術は手術なので当然リスクも存在します。ここでは手術を受ける母体に対するリスクを説明します。

傷ができる

おなかを切るのでどうしても傷はできます、術後の痛みもあります(経膣分娩は会陰切開の痛みがありますが・・・)。これはリスクというより仕方が無いことですね・・・。美容的には横切開が勝りますが、次の帝王切開術の時に癒着の程度が強いというデメリットもあります。おなかに傷があるので、分娩後の身体的負担は帝切後の方が大きくなります。

出血

これは帝切と切っても切れない問題です。
帝切時に出血が多くなる原因をいくつか書いてみます。

子宮切開部位からの出血

出血が全くない手術は少ないですが、帝切は出血が多い手術に入ります。もちろんできるだけ少なく、少なくというのが大前提ですが、血流が豊富な子宮の筋肉を5センチ以上横に切開しますのでどうしてもでる時は出るものなんです。そのためできるだけ手術時間を短くするという方法をとります。子宮が空っぽになったらできるだけ早く子宮筋層を縫合してしまいます。胎児を出す時に切開した部分からの出血だけであればまだ良いのですが、胎児が大きかったりすると胎児が出る時に子宮の筋層が裂けて出血が増えることがあります。このようなところはちゃんと縫合止血を行います。大量出血となる時は輸血を行うこともあります。

子宮弛緩出血

子宮の収縮が不良で、本来止まるべき子宮内面からの出血がなかなか止まりにくい、子宮弛緩出血と呼ばれる出血があります。これは子宮が本来持っている産後の収縮力にかかってきますが、強力な薬剤で収縮させることができます(いわゆる子宮収縮剤ですね)。

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癒着胎盤

非常に珍しい状態なのですが、癒着胎盤というものがあります。胎児が娩出されたら胎盤は子宮の収縮とともにぽろっと自然に子宮から剥がれてくるものです。これが何らかの理由で胎盤が子宮の筋肉にしっかりと食い込んでいるとなかなか剥がれません。剥がさないと子宮が縮まないので出血が増える、しかし無理に剥がすと大出血となる可能性があります。胎盤を剥離することでより出血が増えると判断されたら、やむを得ず子宮を丸ごと摘出することも必要となってきます。母体の命を救うためですね。

前置胎盤

前置胎盤は子宮の入口(子宮頚部)近くに胎盤が付着した場合で、経膣分娩が困難かもしく不可能になる状態です。前置胎盤は帝王切開術の絶対的適応です。子宮頚部と子宮体部はつながっていますが、全く違う構造を持っているので、胎盤が本来付着する子宮体部以外の子宮頚部に付着すると胎盤を剥がした後大出血を起こす可能性が高くなります。以前、紀子様が前置胎盤でしたね。

感染症

子宮や腹壁の縫合部分に細菌が侵入して術後1週間位して傷が開いてしまったり(感染による縫合不全)、子宮の中に細菌が増えて子宮内膜炎を起こしたりします。術後は抗生剤の点滴を予防的に投与することが多いのでこのような感染はほとんど起こっていません。ただ、破水から時間が経過して子宮内感染がベースにある方が帝切になると術後感染症になることもあります。術後異常な熱の上昇や局所的な痛みなどで発見されます。治療には抗生剤の変更や追加投与などが必要となります。





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