多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

PCOSってなに?

卵巣が大きくなり(多嚢胞卵巣)、月経が全くない(無月経)や月経が時々しかない(希発月経)、毛が濃い(多毛症)、肥満を有するものをPCOSとすると、最初は定義されました。しかし、PCOSとしての無月経や不妊症があっても、肥満や多毛症の症状がないタイプもたくさん存在していることもわかってきました。PCOSは続発性の無月経患者の中ではもっとも多い原因で、排卵障害が不妊症に関連のある疾患でもあります。

下垂体からLHというホルモンが分泌されることは以前お話しましたが、PCOSの方ではそのLHがたくさん分泌されて卵巣で男性ホルモンであるアンドロゲンがたくさん分泌されます。(一般に女性でもアンドロゲンは分泌されているんです)アンドロゲンはエストロゲンに転換されるので、慢性的なエストロゲン過剰状態がつづきます。エストロゲンはいつもたくさんあれば良いというものでありません。周期的に変動することで、排卵や月経を起こしています。

PCOSの場合は、つねに過剰なエストロゲンが存在することで排卵障害を引き起こし、不妊症になるというわけです。

症状は?

排卵障害と不妊症、多毛、肥満、多嚢胞卵巣だけがこの病気の症状ではありません。
高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、インシュリン分泌異常など内分泌的な異常(ホルモンの異常ですね)も合併します。多くの方は、思春期のうちから症状が出始めます。初経の年齢は一般の方と変わらないようですが、男性化傾向があったり(ニキビが多い、声が低い、体毛が多いなど)、インシュリン分泌異常のために肥満傾向となります。(日本人は多毛は少ないようです)エストロゲンが慢性的に高くなると子宮体癌や乳癌の危険性も高くなり、定期的な検査が重要となります。


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不妊との関連は?

卵巣は大きく腫大し、表面の皮は厚く破れにくくなります。
卵巣には多数の卵胞がみられますが、排卵せずに閉鎖した閉鎖卵胞です。連続的な排卵が行われないので、排卵性の不妊症の原因となります。また、正常な黄体が形成されないので黄体機能不全にもなります。

診断はどうするの?

まず問診が重要で、初経時から多毛や肥満や月経異常があれば、PCOSを想定します。ホルモン検査でLHやアンドロゲンが高くなり、超音波検査では卵巣に多数の閉鎖した卵胞が見られれば(ネックレスサイン)ほぼ診断がつきます。

治療は?

挙児希望があるかどうかで変わってきます。もちろん、高度肥満がある場合は適切なダイエットは非常に重要です。

挙児希望がある場合

排卵を起こすために排卵誘発剤を使用します(クロミッドやHMG-HCG療法)。
クロミッドはPCOSの患者さんには第一選択となります。
HMG-HCG療法を行うと高頻度でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)が発生するので細心の注意が必要です。手術療法として卵巣楔状切除術があります。比較的高率に排卵を起こすことができるようですが、手術による卵管周囲の癒着などの問題もあり、最近では一般的な治療ではないようですね。

挙児希望がない場合

すぐに排卵を起こす必要がないので、無月経の場合はカウフマン療法(ホルモン剤の内服)で定期的に月経をおこす治療を行うことになります。

※糖尿病の治療薬であるメトフォルミンがPCOSの排卵誘発に使われるようになってきました。クロミッドで排卵が起きないタイプに対してメトフォルミン単独でもしくはクロミッドとの併用で使われて、排卵率や妊娠率が上昇しているようです。



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