卵巣がんの症状と診断

卵巣がんの症状と診断

卵巣がんの症状

「卵巣が腫れていると痛くないんですか?」とよく質問されます。
良性でも悪性でもそうですが、卵巣が腫大(腫れて大きくなること)していること自体での痛みはほとんどありません。 ある程度の大きさにならないと(直径10センチほど)圧迫感や違和感などの症状も出現しません。
特に、肥満のある方などはかなりの大きさになっても自覚されにくいものです。 超音波検査なので大きく腫大した卵巣を提示すると、ほとんどの方が「そんなに大きなものがお腹の中にあったんですか!」と驚かれます。

また、「悪い病気」=「出血症状があるはず」と思っておられる方も結構多いですね。しかし、卵巣癌は子宮体癌のように初期から不正性器出血という外出血症状が出るわけでもありません。 卵巣癌がお腹の中の空間(腹腔内)にひろがると腹水や腹腔内出血、癒着に伴う症状などが出現してきます。
腹腔内転移により癒着が高度となるとお腹の一部に硬い腫瘤を触診できる場合もあります。
腹水がかなりの量になるとウエストサイズが大きくなってきますが、「あら、いやだ。最近太ったかしら・・・。」と自己判断して受診が遅れるケースが実はよくあります。

このようにある程度まで卵巣癌が進行しないと症状がでてきません。
腹水などの症状が出てきたときは、すでに卵巣癌の3期以上となっていることが多いのです!



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卵巣がんの好発年齢

卵巣癌は非常に幅広い年齢で発生し、組織型によりその好発年齢に違いが出てきます。
頻度的に多い、上皮性の卵巣癌の場合は、更年期の時期が好発年齢と言えます。(40歳代〜50歳代)
数は少なくなりますが、30歳代前半から散見されます。
10歳代でも卵巣癌は発生します。若年者の卵巣癌は非上皮性が多いのが特徴的です。


卵巣がんの診断

問診や内診

まずは腹部症状の程度や種類、卵巣癌や卵巣腫瘍の家族歴に関して問診します。 鼠径部のリンパ節の腫れなどがないかもチェックされます。 内診では卵巣腫瘍の可動性や大きさ、お腹の張り具合や硬さなどを調べます。 元々卵巣は正常では触れることは難しいですが、ある程度大きくなると内診で触れることができるようになります。 卵巣は腹腔内ではフリーな臓器で、良性腫瘍では周囲との癒着は少なく、動かすことが容易です。 癌の場合は進行すると高率に周囲と癒着します。
そのため、周囲との癒着を示唆する「腫瘍の可動性の有無」はとても重要な内診項目です。


画像診断

簡単にどこででも検査可能な超音波検査は非常に有用です。 卵巣癌なのか良性の卵巣腫瘍なのかはまず超音波検査でチェックされます。 典型的な卵巣癌であれば超音波検査でほぼ予想がつきます。 さらに、CTやMRIで卵巣癌の種類の推定(組織型の推定)や周囲との関係、転移の有無などをチェックします。 これらの画像診断は卵巣癌の疑いがどれだけ強いか、どれだけ広がりがあるのか、組織型をある程度予測できる、という点では非常に良い検査ですが、組織学的な確定診断ではありません。


腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は何か腫瘍性病変が疑われるときに行われる血液検査です。
ある種の腫瘍マーカーは数値が高いと癌である可能性が高くなります。 卵巣癌の時にもっとも良く検査される腫瘍マーカーは「CA125」です。 卵巣癌の80%くらいでこのマーカーが陽性となります。 その他にも沢山の腫瘍マーカーがあり、組織学的な予想をたてて、項目が追加されます。 陽性となった腫瘍マーカー値は術後の経過を追うときにも参考になります。



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☆注意☆
腫瘍マーカーは癌の疑いがあるときには有用な検査ですが、その解釈には若干の注意が必要です。 この検査はあくまで「補助診断」であって、癌を確定するものではありません。 良性腫瘍でも腫瘍マーカーが4桁になることもありますし、全身的な検索を行っても腫瘍マーカーの上昇が説明できないことも時々あります。


確定診断は手術で!

卵巣癌で手術を行う場合は「卵巣癌が非常に強く疑われる」という状態で手術となります。 卵巣は腹腔内臓器なので術前に組織学的診断を下すことができないからです。 これは子宮体癌や子宮頚癌が組織学的に診断されてから手術となるのと大きな違いです。
進行した卵巣癌であればまず診断が変わることはありませんが、1期などの卵巣癌の場合は手術の結果、良性腫瘍だったという場合もあり得ますし、逆に良性卵巣腫瘍で手術を行って組織学的に卵巣癌という診断になることもあります。

卵巣癌の手術では「術中迅速病理診断」により、卵巣の腫瘍性病変を手術中に顕微鏡的に検査して良性、悪性の仮の診断をくだすことが一般的です。 その術中診断によってその後の手術方法を決定したり、変更したりしています。

「卵巣の腫瘍性病変が悪性なのか良性なのかは、手術によって始めて診断される。つまり、手術は治療でもあり、診断方法の一つでもある。」
ということは、とても重要なことなので覚えておいてください。





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