卵巣がんの手術療法

卵巣がんの具体的な手術手技

卵巣癌の手術では以下の3項目が全て行われるのが理想的です。 (実際にはやむを得ず試験開腹術になることもよくあります)

1.基本術式
2.進行期を決めるための手技
3.腫瘍量減少のための手技

1.基本術式

「両側付属器切除術+子宮摘出術+大網切除術」が基本術式となります。
両側付属器とは両方の卵巣と卵管のことです。
一般的には卵巣癌は片方から発生しますが、もう片方の卵巣にも非常に転移しやすく、両側を切除することが必要です。 子宮もすぐ隣にある臓器で高率に転移します。
大網とは、腰だけのエプロンの様に胃の表面から垂れ下がっている膜状の組織です。
これは腹腔内のリンパ節とも言える様な存在で、非常に高率に卵巣癌が転移します。

おなかの中を十分に観察し、転移巣の切除を行うため、お臍の上5センチくらいの位置から恥骨付近まで大きく腹部を切開します。卵巣癌の可能性が高いときは、丹念な腹腔内チェックができないので、腹腔鏡手術はあまり行われません。
虫垂切除が基本術式に含まれることがあり、肉眼的に異常があれば当然切除されます。
しかし、肉眼的に正常であれば切除に治療的な意味はないとも言われています。

2.進行期を決めるための手技

腹腔内細胞診、腹腔内各所の生検、後腹膜リンパ節の郭清や生検が行われます。
肉眼的に明らかに沢山の転移巣があるときは進行期も決定しやすいですが、肉眼的にはっきりしないときは腹腔内細胞診がとても重要となります。
腹水があるときは腹水を採取して細胞レベルの検査に提出します。
腹水が無いときは子宮の後面のくぼみ(Douglas窩)や肝臓周囲などを生理食塩水で洗浄した液体を細胞診へ提出します。
卵巣癌I期やII期では腹水の細胞診が陽性(癌細胞が含まれていると)Ic期やIIc期となり術後追加の対象となり、また再発率や予後にも違いが出てきます。

腹腔内に非常に小さな転移巣と思われる部位があれば切除して病理学的検査へ提出します。
リンパ管内に進入した癌細胞はリンパ節でとらえられますのでリンパ節の郭清や生検はその広がりを評価するために重要となります。 非常に初期の状態であればリンパ節転移はまれで、リンパ節郭清は省略できるという意見もあります。



スポンサーリンク

3.腫瘍量減少のための手技

「腹腔内に散らばり転移している病巣の切除」が行われます。
切除できるところはできるだけ沢山切除することが卵巣癌では重要です。
切除可能であれば癒着した腸管も一緒に切除することもよくあります(この場合は外科医と一緒に手術を行います)。
残存した腫瘍の大きさにより、術後の予後や再発率に違いがでてきます。
特に残存腫瘍径が1センチ未満になると切除率が非常に高いと表現されます。

術中迅速病理診断とは

術中に切除した卵巣腫瘍を「術中迅速病理診断」に提出し、悪性かどうか、どんな組織型なのか、を診断します。
この「術中迅速病理診断」はあくまでも仮の診断です。
術後だいたい1〜2週間で正式な診断が報告されます。

ほとんどの場合は診断が変更されることはありませんが、時に診断ががらっと変わることがあります。
癌であったものが良性でした、となることはまずありませんが、良性と診断されていたものが「境界悪性」であったり、非常に良性に近いタイプの悪性であったりすることはあり得ます。
また組織型(卵巣癌の種類)が変わることもあります。
良性としての手術が行われた時は、治療が足りませんので、再開腹して悪性腫瘍としての手術が行われます。





スポンサーリンク