顕微授精(ICSI)|1/3

顕微授精(ICSI)1/3

はじめに

体外受精において、受精は自然に任せて行う一般的な方法と卵子細胞内に人工的に精子を注入する方法があります。後者は顕微授精といい比較的新しい技術ですが、急速に普及し今では新鮮胚を使用した一般的なIVF-ETと顕微授精がほぼ同じ数もしくはそれ以上行われています。

顕微授精には歴史的な変遷の中でいくつか方法がありましたが、現在顕微授精の99.9%はICSI(intracytoplasmic sperm injection)「細胞質内精子注入法」という技術が使われいます。
厳密には違いますが、解説に当たって、顕微授精=ICSIと表現します。

※顕微授精の「じゅせい」は体外受精の「じゅせい」と漢字がちがうのでご注意を!

歴史的なこと

IVF-ETは1970年代に卵管性不妊症の治療法としてスタートしました。
だんだんといろいろな原因の不妊症の治療として発展、普及してきました。1980年代にはいると男性因子不妊に対する効果もあるということから精子が少ない方への治療もIVF-ETで行われるようになってきました。

しかし、それでも受精が成立しない男性因子が結構多いことがわかってきました。
極端に運動精子数が少ない場合や奇形精子が多い場合は一般的なIVF-ETではなかなか妊娠が成立しないという報告が多くなってきて、媒精する精子の濃度を濃くしたりするなどの方法がとられましたがうまくいきませんでした。

最初のころの顕微授精は卵子に影響の少ない方法から始められました。
透明帯といって卵子の周囲にある膜状の部分を切開し(穴をあけ)、そこへ媒精されました。しかしながら沢山の精子が受精し(多精子受精)妊娠には至りませんでした。そのほかいろいろな方法が試され、もっとも成功率の高かった現在の技術であるICSIの方法に至ったというわけです。

1988年にヒトで最初のICSIによる受精が確認されました。
1992年には初めての妊娠例が報告されはじめぞくぞくと報告例が増えてゆきました。その後は精子の通り道が完全に閉塞してしまっている閉塞性無精子症の患者さんの精巣上体を使用したICSIや精巣の精子を小手術で採取して行うICSIなども増えてきて適応の幅が広がってきています。

日本では1994年に最初の分娩が報告されて1995年から実施される数が急速に増え、現在に至るという訳です。日本で最初の分娩からまだ10年ちょっとくらいしか経っていないんですね。





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