卵胞-黄体ホルモン合剤(E-P合剤

卵胞-黄体ホルモン合剤(E-P合剤)

※お急ぎの方はこのページの内容を1ページに凝縮したE-P合剤のまとめをご覧ください。

E-P合剤はその名の示す通り、エストロゲン成分とプロゲステロン成分の両方を含む薬剤です。

含まれるエストロゲンの量が多い中用量~高用量(合成エストロゲンであるエチニルエストラジオール(EE)が0.05mg以上)のものと、量が少ない低用量(EE0.02~0.04mg)がのものがあります。 中用量のものは以前は避妊用のピルとしても使用されていたものです。

現在エストロゲンの低用量化が主流となり、低用量のものはLEP(low dose estrogen progestin)もしくは低用量OC(低用量ピル)と言います。 主に月経困難症などで使用されるものはLEP、避妊用はOCと呼ばれ区別することもあります。

中用量EP合剤

現在販売されている中量用EP合剤はプラノバール、ソフィアAなどがあります。 ドオルトンやノアルテンは製造中止となっています。

以前はピルの主成分だったのですが、後述する低用量ピルが広く使用されるようになってからは通常使用する避妊ピルとしての使用頻度は激減しています。 プラノバールは含まれる合成エストロゲンであるエチニルエストラジオール(EE)0.05mgとノルゲストレル(NG)0.5mgが含まれます。

主に月経の移動や機能性子宮出血の止血目的で使用されます。 月経の移動は低用量EP合剤でも可能ですが、低用量場合は含まれる薬剤が少ない分長期間の投与が必要となります。

機能性子宮出血はプロゲスチンのみでも止血する場合もあります。 そのためデュファストンなどで止血を試みてもよいのですが、出血の量が多いとうまく止血してくれません。 中用量EP合剤の方が止血効果は高く最初からこちらを使用することが多いですね。

低用量EP合剤

LEP(low dose estrogen progestin)は低用量(EE0.02~0.04mg)の卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両者が含まれる合剤です。 低用量EPは当然避妊用のピル(低用量OC)も含まれますがここでは月経困難症に対して使用されるLEPについて解説します。

日本で現在使用されるLEP剤はルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠です。排卵を抑えることで月経を軽くし、月経痛を軽減する作用があります。そのため月経困難症に対して適応があります。これらはいわゆる避妊用ピルではありませんが、排卵を抑制するのでこの薬剤を使用しながら排卵を期待することはできません。

ルナベル配合錠LDは卵胞ホルモンとしてEEを0.035mg含み、黄体ホルモンとしてノルエチステロン(NET)1mgを含みます。 その後副作用軽減の目的でEEを0.02mgへ減量したルナベル配合錠ULDが発売されました。 低用量ピルのオーソ21と内容は一緒です。 ルナベルは21日分が1シートに納められていて、4週間サイクルの最終の1週間は休薬期間といって薬剤の内服がありません。この休薬期間に消退出血(月経)があります。

ヤーズ配合錠は卵胞ホルモンとしてEE0.02mg、黄体ホルモンとしてドロスピレノン(DRSP)3mgを含む薬剤です。28日分が1シートに納められています。 その内24日分はお薬が含まれる錠剤(実薬)ですが、残り4日分はホルモン成分が含まれない偽の薬剤(偽薬)です。 偽薬中に月経と同じような出血がありますが、偽薬があることで飲み忘れを防ぐことができます。 休薬期間を考えることなく「いつでも毎日1錠を内服する」と覚えておけばよいので。

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血栓症の早期対応の重要性

LEPはEEの量がとても少ない薬剤ですが、血栓症という怖い副作用が発生する可能性があります。 もちろんとても低い頻度ですが処方の際には副作用に関してしっかりとした説明を受ける必要があります。

LEPを内服しているときに血栓症が発生するリスクは女性10万人あたり年間20人ほどでLEPを内服していない一般女性の発生頻度の3倍~5倍といわれています。 ただし、妊娠中の血栓症の発生頻度が女性10万人当たり年間60人と内服をしていない人の約10倍であることを考えるとLEPを内服中に発生する血栓症の頻度はめちゃくちゃ高くなるという訳ではありません。

血栓症は女性ホルモン薬投与中、頻度は非常に低いのですが起こりえる副作用です。 重要なことは血栓症がまだ軽症のうちに早期発見、早期治療をすることです。 血栓症早期発見のための重要なサインとして「ACHES」という語呂合わせがあります。

以下のような症状が出現すれば必ず女性ホルモン製剤を中止して、処方した産婦人科医か、他の科へ受診するときは、担当医に「女性ホルモン製剤を内服しているので血栓症の可能性があるかもしれません」と必ず告げてください。そして、すぐに受診をし、迅速な検査や治療を受けてください。
血栓症早期発見のACHES
A ; abdominal pain 激しい腹痛
C ; chest pain 激しい胸痛、息苦しさ
H ; headache 激しい頭痛
E ; eye/speech problems 見えにくい、視野が狭い、
舌がもつれるなどの神経学的症状
S ; sever leg pain 激しいふくらはぎの痛み、足のむくみや赤くなっている
これらのE-P合剤を処方するときに医師が行うべき指導は 脱水の予防、就寝前の水分補給、過度の運動の抑制、食生活の指導などです。

また、血栓症の早期発見のための行うべき検査は血圧、脈拍、体重の記録、血算、脂質系の測定、血栓症が疑われるときはATIIIやD-dimerの測定、心電図などです。




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