排卵の異常

排卵の異常(排卵がない)は不妊症の原因のうちでも卵管因子に次ぐ頻度といわれています。
ややこしい話になりますが、排卵の仕組みを知っていると理解が深まります。
特にホルモンの名前は重要なのでぜひ覚えてくださいね。

排卵のメカニズム

スタートは脳からです。
脳の一部に視床下部(ししょうかぶ)という部分があります。ここから「ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン」(GnRHと略します)というホルモンが放出されます。

GnRHが脳の底の部分にぶら下がっている、脳下垂体(のうかすいたい)に届けられ、「ゴナドトロピン」と呼ばれる2種類のホルモン黄体形成ホルモン(LH)卵胞刺激ホルモン(FSH)が放出(分泌)されます。

このFSHとLHが卵巣に届けられ、エストロゲン(卵胞ホルモン:E)プロゲステロン(黄体ホルモン:P)が卵巣から放出され、排卵が起こっています。

月経から次の月経までの周期を卵巣の立場からみると以下のように分けられます。
1.卵胞期(排卵までの時期、基礎体温で低温期)
2.排卵期(排卵の時期、基礎体温が上昇はじめる時期)
3.黄体期(排卵から次の月経までの時期、高温期)

1週間以内くらいで月経がおわり、次の排卵の準備が始まりますが、月経のおわり頃からFSHの分泌が増えてきて卵巣に働きかけて卵子が入っている卵胞が発育します。
最初数ミリだったいくつかの卵胞の中から一つが選ばれ、発育してゆきます。
この発育していく卵胞からエストロゲンがどんどん分泌されて、ある一定の量をこえると、脳下垂体に働きかけてLHを多量に分泌しなさいと、命令をだします。このとき、卵巣では卵胞が20ミリくらいの大きさに発育しています。

脳下垂体から多量のLHが分泌されると、今度はLHが卵巣の表面に働いて卵胞を破裂させます。
LHが大量に放出されることをLHサージといい、排卵の「引き金」となっているわけです。LHサージの始まりから24〜36時間後(ピークからは16〜24時間後)に排卵するといわれています。

卵胞の中に入っていた卵子は卵巣外に放出されます。これが排卵です。
卵管采が放出された卵子をpick upして精子と受精することになります。無事に排卵させた卵巣もまだ仕事が残っています。

脳下垂体から放出されるLHは排卵のあとに残った卵胞の袋に存在する細胞に働きかけて、黄体細胞に変化させます。卵胞の袋は黄体へと変化し、黄体からはエストロゲンと多量のプロゲステロンが放出されます。このエストロゲンとプロゲステロンの働きで、子宮の内膜は厚ぼったく変化し受精卵がいつでも着床しやすくなるわけです。

その後妊娠が成立しなければ黄体は縮んで、ホルモンの分泌が減少すると、子宮内膜がその厚みを維持できずに、出血とともに子宮外に子宮内膜が排出され、月経となるわけです。


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排卵障害について

排卵が起こらなければ一般的な方法で妊娠することは不可能です。
排卵の障害はこれまで解説してきたように視床下部、脳下垂体、卵巣に異常がありホルモンの分泌がうまくいかない等の理由で生じてきます。また、排卵が起こらないと基本的には黄体ホルモンが分泌されないので、基礎体温が低温期のままです。(基礎体温が低温期から高温期へ変化はするけれど発育した卵胞が破裂しない異常もありますが)

視床下部は体調や精神的な状態で影響をうけやすいので、ストレスなどが原因になることもありますね。排卵障害は視床下部性のものが頻度が高いんです。
多嚢胞性卵巣という状態があります。これは沢山の卵胞がある程度の大きさまで同時に発育しますが、排卵が起きない状態です。重要な排卵障害の原因となります。
また、高プロラクチン血症という疾患があります。これはプロラクチンというホルモンが通常よりも多く分泌されて排卵を抑制してしまいます。

排卵の障害による不妊症の治療は「不妊症の治療」の項目で書きますが、基本的には排卵誘発剤が使用されますね。

今回の項目で関連することをいくつか・・・。

・クロミッド

内服の排卵誘発剤で視床下部に働いてLHやFSHの分泌を増加させ、結果的に排卵を促します。多数の卵胞が同時に刺激され複数排卵することもあります。

・HMG-HCGの注射

HMGは注射の排卵誘発剤です。高齢者の女性の尿から抽出した卵巣を刺激するホルモン剤です(商品名;ヒュメゴン、フェルティノーム、パーゴナル、HMG日研など)。十分に卵胞を発育させて、タイミングを見てHCGを注射します。これは卵胞を破裂させる作用がある胎盤から抽出されたホルモン剤です。副作用に卵巣過剰刺激症候群があります。

・排卵検査薬

尿をつかってLHの上昇から排卵を予想するものと唾液を使ってエストロゲンの上昇から排卵を予想するものがあります。ただ、LHサージが短いと朝、夕の2回のチェックではいずれも陰性とでることがあり、正確には超音波検査なども組み合わせる必要があります。これは、補助的な検査ですね。



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