不妊症治療総論 1/3

不妊症の原因が沢山あるとそれに対する治療法も当然多くなります。
また、治療はいわゆるスタンダードな方法から、経験から導き出された主治医独自の治療まで内容も多彩です。不妊治療の対象となる方の年齢や背景も違ってきますので、治療の進め方に幅があって当然ですね。

不妊症は段階を踏んで治療を行われることが一般的ですが、ステップアップの期間や方法も患者さんの状況や医師の考え方で違ってきます。そのため、ここで説明している治療は、現時点(2007年)で一般的だと思われる方法をピックアップしてあります。そのあたりを考慮して読んでください。

不妊治療の原則は「できる限り自然な方法で」が原則です。
時間的な余裕があるにもかかわらず、原因の検索をろくにせずいきなり体外受精に移行するのはどうかとおもいます。現時点で生殖補助技術で次世代に何らかの影響を与える可能性はないだろうとなっていますが、やはりできるだけ自然に近い方法で行うべきだと考えます。

そうは言っても、高齢の方で時間的に余裕がない場合に漫然と同じ治療を繰り返したりすることは、時間の損失になります。そのような場合は、素早いステップアップなど個別の判断が重要になります。

不妊治療には産婦人科の知識が総動員されます。
そのため、医学的な用語が沢山出てきて、素人の方は医師などから説明を受けてもさっぱりわからないということもあり得る話です。不妊治療を受ける際は、自分がどのような状態でどのような治療を受ける必要があるのかを知っておくと理解が深まります。そのためには少しでも多くの情報を手にしておく必要がありますね。これから不妊症治療のことについて解説しますが、できるだけわかりやすく書いて行きますのでしっかり勉強していってくださいね。

不妊症治療のながれ

挙児希望のある方が受診されて、まずはカウンセリング・問診を行います。
患者さんの年齢、職業、結婚歴、離婚歴、他科疾患の既往歴、内服歴、妊娠歴、流産歴、手術歴、不妊歴や治療歴、感染症の既往歴・・・などの質問もいたします。 また、妊娠や今後の不妊治療に対する考え方もお聞きするかと思います。医療の分野は診察以前に問診が大切です。この段階から治療が始まっています。

初めての方は、「どうしてここまで聞かれるの!」と思われるかもしれませんが詳細な問診は後の検査や治療に非常に役に立つものなんです。 身内とはいえ話をしてはいけないという守秘義務がありますので安心してお話をしてください。 隠したいことが非常に重要なことだったりもします。(これは不妊治療に限ったことではないんですが・・・)

一通りの問診の後、今後の検査のプランニングが説明されます。
スクリーニング検査として一般不妊症検査を行います。 検査はたくさんありますが、無駄な検査はなく最低限必要な検査なのでぜひ受けて下さい。 特にフーナーテストと精液検査は男性側の意向でなかなか受けられないことも多いです。

スポンサーリンク

一般不妊症検査で異常が見つかれば、まずそれに対する精密検査 (二次検査)個別の治療(子宮筋腫や内膜症の治療)が行われます。このとき、原因によってはすぐにでも体外受精等の高度生殖医療が必要となることもあります (無精子症や両側卵管の完全閉塞など)。

一般不妊症検査で異常が見つからなければ、タイミング療法を行いつつ、必要に応じて精密検査を行います。 ある程度の期間タイミング療法を行い妊娠に至らなければ、この段階で腹腔鏡検査がおこなわれることも多いです。 施設によっては腹腔鏡を早い段階で行うところもあります。

その後、排卵誘発剤を使用した治療や人工授精が行われます。
この段階で妊娠される方もたくさんいらっしゃいますので安易な高度生殖医療へのステップアップは行われるべきではないと思います。 もちろん、時間的な余裕や背景により左右されますが。

それでも妊娠が成立しない場合は、最終的な手段として体外受精や顕微受精などの高度生殖医療ないし補助生殖医療(Assisted Reproductive Technology:ART)が行われます。

不妊治療の考え方

不妊治療は色々な方法があります。
排卵誘発剤の使用や子宮内膜症の治療、タイミング療法、人工授精、体外受精などなど・・・。ごちゃごちゃして難しく見えますが、整理してみるとそう難しい内容ではありません。

不妊症治療はまず、一般不妊症治療生殖補助医療(ART)に分けられます。
次に一般不妊治療は排卵誘発剤を使用するか否か人工授精を行うか否かで分けられます。
実はこれだけなんです。

一般不妊症治療が不妊症の原因探究とその改善から始まり、受精のタイミングを合わせる巨視的な(マクロな)治療であるのに対して、ARTは最先端の技術を使用し、精子、卵子、受精卵、胚などを顕微鏡下に扱う微視的な(ミクロな)治療になります。一般不妊治療は精子と卵子が出逢いの場を間接的に準備してあげる治療で、ARTは出逢いの場を直接準備してあげる治療とも言い換えられますね。実は ARTは原因そのものの治療は行われいないんですね。

次では一般不妊治療について説明します。





スポンサーリンク