黄体管理と妊娠判定

黄体管理と妊娠判定

さて今回の話題ですが、IVF-ETの時には黄体機能不全になりやすい状況にありますのでこれを人工的に補ってあげる必要があります。黄体機能を補うことをluteal support(ルテアールサポート)といいIVF-ETの際にとても重要です。

黄体の機能とは?

黄体のことを復習してみましょう。
黄体は卵胞が発育して、排卵した後に卵胞が変化して形成されて、プロゲステロンとエストロゲンを分泌します。それらのホルモンが、胚が着床するために適した子宮内膜の環境を作り出してくれています。月経周期では排卵後4日ほどでこれらのホルモンのピークがおとずれ、1週間くらいそれが維持され妊娠が成立しないと、その後徐々に減少してゆき、次の月経が発来します。

月経周期自体の個人差はかなりありますが、妊娠が成立しないと一般的に排卵後約2週間で月経が始まるのはホルモンが消失してゆく時間が約2週間と個人差がほとんどないからですね。黄体の寿命が2週間ともいえます。月経という現象はあるべきホルモンが減少すること(消退する)で引き起こされる消退出血という訳です。

着床し、絨毛組織というものが作られると、hCGというホルモンが分泌されて黄体を刺激してプロゲステロンを持続的に分泌させるようになります。この場合はプロゲステロンが減少しないので月経が発来しません。妊娠が継続されます。妊娠反応はこのhCGの量がある一定のレベルを超えると「陽性」と判定がでるようにつくられています。

妊娠7週に手術により黄体を切除するとほぼ完全に流産をおこすので、妊娠7週くらいまでは黄体からプロゲステロンが分泌されてると考えられています。妊娠が進んで8週あたりになると今度は胎盤からプロゲステロンの分泌が増えてその後数週間かけて卵巣からのプロゲステロンは減少し、胎盤からのプロゲステロンに置き換わって妊娠が継続されてゆきます。

排卵後の黄体期のプロゲステロンは着床やその後の維持にとても重要な働きをしているわけですね。 自然周期での黄体機能不全の際もluteal supportはもちろん重要ですが、IVF-ETの時は特に重要になってきます。



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IVF-ETにおけるluteal supportの必要性

IVF-ETでも自然排卵周期やクロミッド周期のIVF-ETの場合は黄体機能不全はおこしにくいので不要となることがありますが、現在も一般的な排卵誘発剤を使用した周期、もしくはGn-RHアゴニスト(スプレキュアなど)を使用した周期の時はほぼ必須の治療となります。 後者の場合はなぜluteal supportが必要となるのでしょうか?

hMGを使用した時は、多数発育した卵胞から大量のエストラジオール(エストロゲンの一種)が分泌されています。黄体期に入ってもエストラジオールが大量に存在しネガティブフィードバックをおこし、下垂体からのLHの分泌を抑制してしまいます。またスプレキュア等の使用のlong plotocolでは、hMGのLH抑制に加えて下垂体が反応しにくくなっているのでよりいっそうLHが抑制されることになります。
黄体機能はLHによって維持されているのでここで、LHが抑制されると、人工的な黄体機能不全になります。なんらかの黄体管理を行わないと早い場合は10日ほどで月経が来てしまうこともあり得ます。

人工的な黄体機能不全といっても、採卵数の増加や早期排卵の抑制という大切な目的があるため仕方がないところですが・・・。 そこでこれを補う、luteal supportが必要となります。

実際のsupportは?

黄体ホルモンであるプロゲステロン自体を補給する方法と黄体を刺激して間接的にプロゲステロンを増加させる方法の2種類があります。

前者はプロゲステロン製剤を採卵日から連日筋肉注射を14日間続ける方法があり、後者は排卵誘発の際に使用するhCGを1500〜3000単位を採卵日と採卵後2日目(一般には移植日)から1日おきに3回投与する方法があります。また施設によってはこれらを併用して使用しているところもあります。 またプロゲステロンの膣錠を使用しているところもあるようですね。プロゲステロンの内服薬もありますが、吸収される量が少なく満足するレベルには達しないともいわれていて、IVF-ETの際には使用されないことが多いかと思います。

採卵から2週間後に妊娠反応が陽性となれば黄体からかなりの量のプロゲステロンが分泌されているので理論的には2週間でluteal supportは終了してもよいと考えられますが、実際には念のため妊娠8週くらいまで続けるところも多いようですね。

凍結していた胚を解凍して移植するときは長期のluteal supportが必要となります。

妊娠判定

さて、ようやくここまで来ました!
IVF-ETの場合は採卵日を「2週0日」と設定しますので採卵から2週間後(4週0日)に妊娠反応をして「陽性」であれば妊娠成立となります。妊娠反応が一度は陽性となっても、その後子宮内に胎嚢が見えてこない場合は科学的流産(chemical abortion)ということになりますのでしばらく観察を続ける必要があります





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