子宮頸がん検診結果(ベセスダシステム)|1/2

子宮頸がん検診結果(ベセスダシステム)1/2

子宮頸がん検診の結果報告をなぜ変更する必要があったか。

子宮頸がん検診とは、子宮頸部の細胞を採取してそれに特殊な染色を施して見やすくし、顕微鏡で正常とは違う細胞を探し出し判定することです。

子宮頸部の細胞の診断を行うので細胞診と言います。 細胞診の結果は「正常」か「異常」の「白」か「黒」二つだけではなく、いわゆるグレーゾーンがあるために、いくつかのパターンで結果が報告されます。
これは子宮頸がんの発生の仕方に関係してきます。子宮頸部の正常な細胞がある日突然すべてが癌細胞に変化するのではなく、長い年月をかけてじわじわと癌へ変化するためです。癌になるまでに沢山の段階をへていくので、異常のある方が細胞診を受けると正常に近い異常の方から、癌に近い異常の方まで「幅広く」結果が報告されます。

これまで日本で使用されてきた子宮頸がんの細胞診結果報告は日本独自の「日母分類」と呼ばれるものでした。 日母分類は細胞診の結果の「幅広さ」をクラス1、2、3、4、5と数字で評価していました。 クラス1とクラス2は正常、クラス3は偽陽性、クラス4とクラス5は癌が疑われると言った感じです。 これは数字で表現されるので患者さんに説明をするのが簡単で、患者さんも「数字が低いから正常なんだな」と感覚的に理解しやすいものでした。 そのため、日本では長く使用されてきました。



スポンサーリンク

しかし国際的にはもっと別の分類が存在します。世界標準は「ベセスダシステム2001」と呼ばれるものです。(ベセスダはアメリカメリーランド州の都市の名前です) 日本独特の分類はいわば細胞診結果報告のガラパゴス化でした。がん検診のデータなどを国際的に比較するときに判定基準が違えばうまく行きませんね。日母分類は互換性が無かった訳です。それで日本もようやく重い腰を上げてベセスダシステムを使用することとなった訳です。

他にも理由があります。 これまでの分類だとクラス3の存在が微妙でした。クラス3は本来は細胞の異常が軽く、軽度異形成や中等度異形成がここに含まれるはずです。しかし、腟内の炎症(トリコモナス膣炎や細菌性膣炎など)による細胞の変化もクラス3に含まれてしまいます。腫瘍による異常なのか炎症による異常なのかはっきり判定ができません。また、細胞採取の方法がわるくてうまく判定ができない(不適正検体)もこのクラスに入れられていました。 せっかく子宮頸がん検診を行って、なにやら異常が出ているのに精密検査をした方が良いのか、それはやり過ぎになるのかがはっきりしない判定となっていた訳です。

また、細胞の採取がうまく行かなかったり、出血が多くて子宮頸部の細胞がよく見えなかったりなど判定に不適切な検体(不適正検体)を無理に判定せずに「これは判定できませんよ。改めて再検査をしてください。」として除外すべき必要もありました。

ちゃんと採取されて判定するに適正な標本であっても、腫瘍性の異常かどうか判定が難しい例も出てきます。軽度異形成や中等度異形成などの判定基準に満たさない場合ですね。そのときは「判定基準を満たさないけど、何らかの異常が見られるから注意してね」と別のカテゴリーを作りより正確な診断や管理ができるようにする必要もあります。
子宮頸がんの発生にはHPVというウイルスの関与が明らかとなり、HPV感染所見が重要となってきたこともベセスダシステムが採用されるようになった理由のひとつでもあります。





スポンサーリンク